ランヤード『アブソービカ』の構造物への回し掛け

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警告

  • • この技術情報を参照する前に、関連する製品の取扱説明書をよく読んでください。ここにある補足情報を理解するには、まず取扱説明書に掲載されている情報を読み、理解する必要があります
  • • ここで紹介する技術を身に付けるためには適切なトレーニングが必要です。ここで紹介する技術を実践する前に必ず、1人で安全に行う能力があることを上級者に確認してください
  • • ユーザーの活動に関連した技術例も紹介しています。ここに紹介されていない方法もあります

 

コネクターをクリップすることができない支点には、ランヤードを回し掛ける方法を用いることもできます。

『アブソービカ Y タイバ ック』のみ構造物への回し掛け用にデザインされ、その認証を受けています。




備考:

• 『アブソービカ I / Y』のロープまたはウェビングは保護された状態にありません。ランヤードを損傷する可能性のある構造物との擦れには注意が必要です。
• 日光により熱くなる金属製構造物には注意が必要です。ランヤードの取扱説明書をよく読み、使用環境の温度に注意してください。
• 支点に回し掛ける際、コネクターの状態に注意してください。不適切な状態 (てこの力がかかる状態、角に当たった状態での荷重、ゲートへの荷重等) になる可能性があります。


規格について

ANSI Z359.13 規格には、ランヤードを回し掛けた状態での試験があります。

ANSI Z359.13 の試験方法:

• 25 cm x 20 cm の金属製ビームにランヤードを回し掛ける。
• ゆっくりと荷重を加え、1分間荷重を維持する。
• 試験の合格には、強度が 22.2 kN を上回らなければならない。

結果:

•『アブソービカ Y タイバック』: 25.4 kN で破断


使用中


『アブソービカ Y タイバック』のみ ANSI Z359.13 規格の回し掛けに関する試験に合格しています。

その他の『アブソービカ』シリーズで記録された破断荷重は、墜落時にユーザーが受ける最大衝撃荷重を上回ります。

したがって、ランヤードの状態が良好であり、また構造物の表面の状態にも問題がないことが確認された場合、これらのランヤードを支点に回し掛ける方法で使用することが可能です。

構造物へランヤードを回し掛ける際の危険


警告: ユーザー自身が状況に応じたリスク分析を行う責任を負います。以下の危険は全てを網羅したものではありません。

支点

支点として用いる構造物の全体的な状態を確認し、バリや鋭い角がないことを確かめてください。ランヤードを損傷する可能性のある構造物との擦れには注意が必要です。

ランヤード

回し掛けるの構造物のサイズに対し、ランヤードの長さが十分であることを確認してください。構造物に回し掛けるのに適したタイプのランヤードを使用してください。

コネクター

構造物に回し掛けた際にコネクターが適切な位置にあることを確認してください。てこの力がかかる状態、角に押し当てられた状態、ゲートに力がかかる状態、コネクターのフレームにプーリー現象が生じる状態等の不適切な状態になる可能性があります。

警告: ランヤード『アブソービカ』を H 形鋼に回し掛けて使用する場合、てこの力がかかる状態で墜落すると、コネクターのフレームにプーリー現象が生じ、より大きな荷重 (数倍になることがあります) がかかる可能性があります。

以下はコネクターの不適切な状態の例ですが、全てを網羅したものではありません。

径の太い支点に回し掛ける際に有効な方法


径の太い支点に回し掛ける際に、ランヤード先端のコネクターにてこの力がかかる状態を制限するために、『アブソービカ』にアタッチメントポイントを追加することができます: 『リング オープン』をエネルギーアブソーバーの黄色いループ部分 (ランヤードのアーム側) にセットします。

警告: 『リング オープン』をその他の箇所にセットしないでください。『リング オープン』のセット方法については取扱説明書を参照ください。

ランヤードを損傷する可能性のある構造物との擦れには注意が必要です。

『リング オープン』を用いてコネクターを径の太い支点に回し掛ける場合の注意ゲートに対してノーズが前に出ているコネクターは、『リング オープン』に引っかかるおそれがあります。そのため、墜落時にランヤードが外れる危険があります。