カラビナやクイックドローへのクリップは、クライミングの基本であり重要な技術です。何も難しいことはない単純な作業のように思われますが、クライミングをより安全かつスピーディにするためには様々な要素を考慮する必要があります。特にロープの流れに対するクイックドローの向きや、ロープをカラビナにクリップする方法には注意が必要です。例えば、ルートの核心部でハーフロープを小さなカラビナにクリップするときには、高いクリップ技術が必要です。
警告
- 以下の補足情報を読む前に取扱説明書をよく読んでください
- ここで紹介する技術を使用する前に、取扱説明書の内容を十分に理解する必要があります
- これらの技術を身に付けるためには、トレーニングが必要です
- これらの技術を自身で実践する前に、使用方法を熟知していて責任能力のある人に相談してください
1. クイックドローのクリップ
必ず『ストリング』等のウェビングプロテクターが付いているクイックドローを使用します。アンカー側のカラビナは自由に動くことができる必要があります(『ストリング』を付けないでください)。ロープ側のカラビナは『ストリング』を付けて固定します。
警告: 1本のクイックドローに2個の『ストリング』を付けないでください。柔軟な動きができなくなり、 カラビナの動きが妨げられて不適切な方向に荷重がかかる危険があります。
2. ロープの向き
『アンジュ S』のような小さなカラビナの場合は、指を中に入れない方がクリップしやすくなります。カラビナを動かないように外側からつかみ、ロープを中に押し込みます。
『アンジュ L』や『スピリット』のような大きめのカラビナの場合は、指をひっかけてカラビナをおさえ、ロープを押し込みます。
3. ロープの向き
カラビナのゲートは常にクライマーが進む方向の逆を向くようになっていなければなりません。カラビナにクリップするロープは、必ず壁側から手前に向かって通します。クイックドローやロープを誤った向きにクリップすると、ロープの動きによってカラビナが外れたり、フォール時にボルト上のカラビナが動いて外れたりすることがあります。
注意: アンカー側で使用したカラビナはロープ側で使用しないでください。アンカー側のカラビナは繰り返し使用するうちに傷が付くことがあります。フォールした時にそのような傷でロープがこすれると、ロープが損傷し、寿命が短くなるおそれがあります。