北海道で育ち、ユース時代も含め10年以上スポーツクライミングに取り組んできた小武芽生は、近年拠点を関西に移し、コンペと岩場の両方で活躍している。運転免許を取得してからは、ひとりで国内の岩場へ赴くことも多くなった。昨年3月には、スペイン・マルガレフで Era Vella(8c+/9a 5.14c/d)をレッドポイントし、活動の場を海外にも広げている。そんな小武に、普段岩場で愛用している装備について聞いた。
1. ボルタ・ロープ 60m:やわらかくしなやかなロープなので、扱いやすいです。国内では60mで十分に足りる長さなので、末端を何回か切っても使用しています。
2. スピリット エクスプレス・クイックドロー:『ジン』よりも軽いため、難しいルートをマスターで登るときはよく使います。スリングが掴みやすいので、ムーブ練習を何回も行うような核心部にはこれです。
3. ジン アクセス・クイックドロー:『ジン』はゲートが大きく開くので、微々たる差ですが『スピリット』よりもギアラックに装着しやすく、開き具合が好きで気に入っています。わし掴みクリップがやりやすいです。『ジン アクセス』は短めの 11㎝ のスリングを使っています。
4. ヒューロンドス・ハーネス:軽さだけなら『シッタ』や『フライ』ですが、レッグループとウエストに安心感がありながら登る妨げにならない、バランスの良いハーネス。本気の繋げトライではこれを使います。ペツルカラーのオレンジも岩場では映えて良い感じです。
5. サカ・チョークバッグ:チョークボールを1つ入れると、深すぎず浅すぎず、ちょうど良い大きさになります。横にブラシを刺すところが2箇所あって、ブラシのサイズも選べます。
6. ブラシ:これといったこだわりはなく、その時々で気に入った物を使っています。毛がなくなってきたら、頭を好きな形に削ります。
7. コーデックス・グローブ:山羊皮なので、使えば使うほど自分の手にフィットして使いやすくなります。制動手の右手だけ履くこともあります。熱にも強いので、焼き石を作るときやロープを切って焼いたあとの形成時にも使います。
8. グリグリ・ビレイデバイス:安全性が高く、ペツルの唯一無二である「ボールロック」タイプのカラビナとセットで使っています。スポートルート、ジムでのトレーニングは『グリグリ』で、マルチやクラックは『ルベルソ』です。
9.フットテープと 10.アッセンション・アッセンダー:長いルートをビレイする時に使っています。クライマーがロングフォールした後にポンピングする時に、ロープの伸長でなかなかたぐれないことがありますが、『グリグリ』と併用してロープ登高の要領でロープを手繰ると効率が良いです。
11. パワークランチ・チョーク:乾燥系のチョークなので、湿度が高くぬめりやすい夏場は特に良いです。
12. パワー リキッド・液体チョーク:ぬめらない日でも下地として最初につけます。ぬめるときは指先を分厚にして、指の間と手の甲までつけます。
13. ビンディ・ヘッドランプ:小型で持ち運びやすく、サカポーチにも収納可能です。クライミング以外も夜のランニングのときに使ったり、非常時のために日常生活でも持ち歩いています。
14. ケアキット:爪切り、テーピング、ヤスリ、剃刀等で指皮やタコのケアをします。ホールドを握りすぎると反り爪になってしまうので、透明なネイルコートを塗って爪を強化します。日焼け止めは、登る前に手をベタつかせたくないので、スティックタイプです。
15. ココヘリ:山奥に行くことはあまりないですが、遭難対策として万一のために持ち歩いています。
16. マグマ・カイロ:寒い日にチョークバッグに入れます。焼き石ほど熱くならないので、ちょうど良い暖かさです。
17. 自作マッサージボール:テニスボール2個をテープで巻いて作りました。背中や前腕をコロコロします。
18. タープ・ロープタープ:足場が悪くてぶら下がりながらのビレーでも、ハンドルをカラビナにかけてその中にロープを収納できるので、快適にビレーできます。地面に直接ロープを置くと、繊維に砂が入って劣化の原因になるので、いつでもタープの上にロープを置いています。
19. ソリューション・シューズ:気温が高いときは硬めのこちらを使用します。
20. ソリューション ウーマン・シューズ:特徴的なヒールカップで、どの角度からでもしっかりヒールがかかります。剛性が強く、ロングルートでも足の負荷が低いので疲れにくく、強いダウントゥのおかげで、全力で距離出しをして伸びきっても足が残りやすいので、自分の弱点をカバーしてくれています。
21. オタキ ウーマン・シューズ:花崗岩や垂壁ボルダーは『オタキ』『ミウラ』『カタキ』など硬めのシューズが多いです。