通常、クライミングハーネスの前面にはビレイループとタイインポイントがあります。これらの場所にランヤード、ビレイデバイス、ロープを連結することができます。
警告
- この技術情報を参照する前に、関連する製品の取扱説明書をよく読んでくださいここにある補足情報を理解するには、まず取扱説明書に掲載されている情報を読み、理解する必要があります。
- ここで紹介する技術を身に付けるためには適切なトレーニングが必要ですここで紹介する技術を実践する前に必ず、1人で安全に行う能力があることを上級者に確認してください。
- ユーザーの活動に関連した技術例も紹介しています。ここに紹介されていない方法もあります。
1. ランヤードの連結場所は?
安全および強度の観点から見ると、ランヤードはビレイループ、タイインポイントのどちらにも連結できます。しかし、快適性を考慮すると、ビレイループへの連結がより良いと言えます。
ランヤードはビレイループに連結することにより、快適性に影響を及ぼすことなく、ハーネスの形状を維持できます。タイインポイントの可動域が保たれるため、クライマーの動きが妨げられません。タイインポイントをあけておくことで、シングルまたはハーフロープを連結することもできます。
ランヤードをタイインポイントに連結すると、ハーネスの上下2箇所が近くに引きつけられてしまいます。これにより、クライマーの快適性と動きの自由度が低下します。
2. ビレイデバイスの連結場所は?
よくある間違いは、ビレイデバイスをビレイループではなく、タイインポイントに連結してしまうことです。
警告: タイインポイントに連結した場合、カラビナに正しく荷重がかかりません。
ビレイループに連結することにより、ビレイデバイスの動きが妨げられず、またカラビナにてこの力がかかるのを防げます。
警告: ビレイデバイスをハーネスのタイインポイントに連結した場合、カラビナの動きが妨げられ、カラビナに正しく荷重がかかりません
・クライマーが墜落した場合、カラビナが破断する危険があります
・カラビナのゲートが開いてしまう危険があります
3. ロープの連結場所は?
安全および強度の観点から見ると、タイインポイントの代わりにビレイループにロープを連結することにリスクはありません。
しかし、耐久性と摩耗を考慮した場合、タイインポイントに連結する方がより良いと言えます。
タイインポイントは連結されたロープによって頻繁に荷重がかかること (レッドポイントトライ中の繰り返しの墜落) が想定されています。また、保護用のウェビングで補強されているため、より耐摩耗性に優れています。ハーネスのモデルによっては、タイイングポイントに赤いインジケーターが内蔵されており、ハーネスの廃棄時期を確認できるものもあります。これにより、用具の点検がしやすくなります。
ビレイループへの連結は、『アルティチュード』や『ツアー』のような墜落することがほとんど想定されていない、マウンテニアリングで使用するハーネスに限られます。
スポーツクライミングにおいて、ビレイループに連結した状態で墜落を繰り返すとハーネスの摩耗が早まります。
警告: ロープを結ぶ際はよく注意してください。
準備が整ったら、登り始める前に必ずパートナーチェックをしましょう。